山葡萄
白神山地を歩いている時、足元に赤い大きな葉が落ちていた。細い蔓がアチコチから垂直に垂れ下がっている、その下辺りに山葡萄が一杯落ちていた。お酒の好きそうなガイドさんが、昔は皮に付いた酵母菌を落とさぬように洗わずにビンに詰め発酵させてワインを造ったそうだ。そこらのボージョレヌーボーは足元にも及ばない味ということでした。
山葡萄の葉は美しい。ガイドさんが山葡萄を沢の水で洗って食べさせてくれた、ぶどうの原種という事だが素朴で爽やかな酸味と控えめな甘さは私の好みにぴったり。
そして山葡萄の蔓。ふけの湯で葡萄の原液のジュースを売っていた。ジュースをサイダーで割ってのみながら、私達の歩く頭上から静かに潜水艦が潜水するように黄やオレンジの葉が光を跳ね返しながら降りて来る様を思い出す。