生きながら火に焼かれて
この本はイスラエルのすぐ隣のシスヨルダンに住んでいた私と同年輩のアラブの女性の実話である。30年近く前に4年程、家族でクゥエートにすんでいた。女の人は我々外国人以外はあまり見かけることは無く、市場で出会う女性は黒いアバヤという布を頭から足まですっぽり被り目だけがかろうじてみえた。この国の女性の暮らしはどんなものなのか、想像もつかなかった。親の許さない恋をした女性が公開で石なげの刑で殺されたというのは新聞で読んだことがあって、心が痛んだ。恋をして妊娠した彼女は家族の名誉を守るため、親に頼まれた義兄によって火をつけられ殺されかけた、治療も受けられず病院にいたのを(出現」という組織の人権保護団体の女性によって助けだされフランスでイタリアの男性と結婚し、二人の女の子に恵まれ今は幸せに暮らしている。このオペラ座の怪人のようなマスクは今なお名誉の殺人の手が外国にまで及ぶ恐れがあるからだそうだ。インドのカースト制度の下の虐げられた女性のノンフィクション「女盗賊プーラン」等、心も身体もしいたげられた女性達が同じ時代を生きているのだ。