ミステリーツァー
高校の卒業?十周年の記念新年会に先立ち、新築された学校を見たことのない東京在住組の為に、同級生がミステリーツァーを企ててくれた。校舎は全て新しくなり、配置も変わり 違う学校に来たようだった。50mプールの位置と部室の一部が前のままでわずかに郷愁を呼び起こした。文化祭の為に借りた十二単を着て藤棚の下で写した写真が家にあるが、その野田藤の藤棚も少し位地をずらして残っていたのは嬉しかった。その向かいにこの弾痕の壁が残されている。昭和20年6月15日、終戦の丁度二ヶ月前 襲撃を受けて二人の生徒が命を落とした。
そして部活に来ていた後輩達にカメラを向けると、ニキビが花盛りの顔で無邪気に答えてくれた。私は貴方達位の時を鮮明に瞼に描けるけど君達は想像出来ないでしょう、?十年後の自分を。でもその時間は結構楽しかったんだよ、君達も思いっきり楽しんでね。決して戦争に遇う事の無いように。