名残桜
藤田嗣治展を竹橋にある東京近代美術館に見に行った。お堀の桜は半分散って半分残っていた。嗣治は大半の作品で硯で墨を擦って面相筆で細かく輪郭をえがいていた。タペストリーの細かい模様も木目の一筋一筋も疎かにはせずに、そのエネルギーに圧倒された。その上の2階から4階までは日本の近代美術、黒田清輝 佐伯祐三 岸田劉生 etc 教科書で見たことのある絵が目の前にあった。吉野の桜を描いた日本画は遠景はともかく数本の桜の大木の桜の花の一輪 一輪が丹念に描かれていた。私はとても根気が続かない。安井曽太郎の青いチャイナ服を着た女の人を書いた作品は教科書の中では端然と清楚に納まっていたが 眼の前のそれは活き活きと瑞々しく妖艶であった。